◆4章◆その13

数日後にアードレーの本宅で、アルバートにあったエルロイは、キッパリと、こういった。

「ウィリアム、私はきめました。キャンディスを、わが一族の名をせおって堂々といきられるよう、手をつくしてみるつもりです。今さらの教育では、おそいかもしれない。けれど、身内として可能なかぎりのことをやりましょう。それをアナタに伝えておきます。」

「それはつまり、キャンディとのけっこんを、みとめてくださる、といういみですね。」

「公表は、まだです。はやすぎます。」

「ありがとう、おばさま!でもボクは、おばさまにみとめていただくのは、なかなかむずかしいだろうと、はんぶんあきらめていたんですよ。何か、わけでもあるのですか?」

「わたくしは・・・キャンディスのそだった孤児院をみてきました。」

「キャンディのそだったところを?ほんとうですか?」

「いいところでしたよ。それだけです。」

それから、つけくわえた。

「あなたがキャンディスを養女にさせたのも、あなた自身がキャンディスに、たすけられたのも、なにか、ふしぎなめぐりあわせかもしれません。それなら、うんめいにさからわず、ながされてみる手もあるでしょう。
よい運にするか、わるい運にするかは、当主のあなたの、かじ取りしだいです。なすべきことを、しっかりと、なさい、ウィリアム・アルバート。」

エルロイは、せいいっぱい、いげんをとりつくろった。

アルバートは、しばらく、うたがわしそうなかおをしていたが、すぐにフッと息をついた。とにもかくにも、キャンディスへのエルロイのたいどが、かわりつつあることを、よろこんでいるようだった。

キャンディスは、まもなく孤児院へもどる。そこから先、あの子をどのようにアードレーに引きこんでいくのか、かんがえよう。またマーゴットに、そうだんしなくては・・・。

ここでエルロイは、気づいた。グレアム所長とキャンディスがあったのも、エルロイの「ポニーの家」への訪問も、マーゴットの手くばりによるもの。まんまと、のせられているではないか。いったい、あのおばは、どこまで策略家なのか。

キャンディスをコマにして、アードレー本宅を手中におさめるつもりなのか。

・・・しかし、それならマーゴットは一度、夫のアルフレッドとともに、総長の代理をつとめていた。そのまま、実権をにぎりつづけることだって、できたのだ。わざわざ赤の他人の養女を利用するのは、まわりくどい。

それでは、あのレイクウッドのゆうれいばなしを、信じているからなのか。

このながれに身をまかせて、いいのだろうか?
エルロイは、ウィリアムにクルリと背をむけ、当惑している表情をかくした。


(4章 終わり)

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